やりきれない。

人間って…結局、何もできないのかなぁ。

今日、ある利用者のお母さんから連絡があって、彼の命がもう長くないことをしった。

彼はまだ20歳になって間もない。

小さい頃に交通事故で脳の損傷が影響して、麻痺と軽度の知的障害を併発しているいわゆる重複障害だ。

そのこと自体、彼は気にしているのかあまりそのことについて泣き言を言うことはなかった。

ある時、健側の足のふくらはぎに「癌」があることが発覚。

東京の癌研に入院して手術&放射線治療を受けることに。

結果は「成功」

あとは、再発していないかどうかを検査するために定期的に地域の病院に行くだけになっていた。

正直、みんな安心していた。

心のどこかに『再発はしない』と信じ切っていた部分がったと思う。

手術は「成功」したのだから。

 

彼は、作業所に通いながら車の免許を取るために勉強をがんばっていた。

結果的に、卒業検定を無事クリアしてあとは試験場での筆記試験に合格すれば念願の免許が取得できるはずだった。

でも、なかなか100問の問題は難しく…点数は上がっているものの後少しのところだった。

そんな話を聞いた直後のことだった。

 

お母さんから電話があって「背中が痛くてちゃんと歩けないらしいから、地域の病院に行くんだけど、東京の癌研に連れていってもらえないだろうか?」と予約。

場所を知っているのは自分だけ、その日の夜は夜勤だったけど調整して朝から病院に向かう予定だった。

 

今日…どうしてもイタイということで再び病院に。

検査の結果は、最悪だった。

 

「骨に転移していて、ステージ4なんだって…もう、どうにもならないんだそうです。」

いつも明るいお母さんの声が暗かった。

 

自分もどうすることもできなかった。

何も声をかけてあげる事ができなかった。

 

息子があと少しの命…

 

胸が苦しくなってきた。

 

自分たちは、残りの時間に出来るだけ彼に会いに行くしかない…。

それしかできない。

 

もう、彼と泊りの時に「心霊スポット巡り」もできなくなってしまった。

まだ、自分の中では受け入れることができない。